心の免疫を高める栄養素

新型コロナウイルス感染拡大に対処するために国をあげて実施している方法は、自粛と我慢の連続で、感染症は予防できたとしてもストレスを高めることになり、これが免疫低下につながります。ストレスは免疫反応を低下させることが知られていますが、感染予防に重要となる免疫が対策へのストレスによって低下してしまったのでは仕方がありません。
「コロナうつ」という言葉が知られるようになりましたが、うつ病には脳内で働く神経伝達物質のセロトニンが深く関係しています。脳内の神経伝達は神経と神経のつなぎ目のシナプスでの受け渡しによって行われています。シナプスにセロトニンが少ない状態が続くと、うつ病が起こると考えられています。
セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンを材料として体内で作られています。トリプトファンは肉類や乳製品に多く含まれています。肉を食べるのがよいといっても、コレステロールが気になる人がいるかと思います。コレステロールの多くは肝臓で合成されて、コレステロールによって脳に運ばれています。つまり、ある程度のコレステロールがないと、脳内のセロトニンが増えてくれないということです。
では、肉類だけを食べていればよいのかというと、そうではありません。セロトニンは腸内で合成されるため、腸内環境がよい状態である必要があります。腸内環境がよいというのは腸内細菌の善玉菌と悪玉菌のバランスが取れている状態を指しています。善玉菌のエサとなるのは糖質で、ご飯などの主食、砂糖、乳製品に含まれる乳糖、食物繊維を多く摂ることによって善玉菌を増やすことができます。逆に悪玉菌のエサとなるのは動物性たんぱく質と脂肪なので、肉食が多くなると、どうしても悪玉菌が増えてしまうことになります。
うつ状態まで進まなくても、心配事が多くなると睡眠が阻害されるようになります。不眠状態では脳内でセロトニンが多く消費されるようになり、肝心の脳の機能を高めることにセトロニンが使われなくなります。そのためにうつ病が悪化していくという悪循環になってしまうのです。