忘れる脳力12 都合が悪いことを忘れる能力

話には前提というものがあります。条件と言ってよいこともあり、約束をしたり、一緒に実施するときには前提や条件があるからこそスタートを切ることができたということも少なくありません。

それは契約をするときだけでなく、口約束であったとしても、前提や条件なしには、初めから手を組むこともなかったというのが通常のことです。ところが、話を進めていくうちに、相手の脳裏から前提も条件消えてしまい、メインのキーワードだけが残っているということがあります。

それは決して珍しいことではなくて、「稼ぎがあるまで、お金はいらない」と言って始めたことなのに、「お金はいらない」ということだけが記憶に残って、仕事がうまくいくようになってから報酬や金額の話をしたら、「お金はいらないと言ったじゃないか」と言い出す人がいます。

しかも、「お金がいらないというから一緒に動いてきた」とか「お金が発生するなら初めからやらなかった」と自分なりの、というか、自分勝手な前提や条件をつけてくる人がいます。こんな人に話が違っていると言ったところで、記憶に残っていないことなので、こちらが難癖をつけているように思われるだけです。

そのような忘れる脳力がある人、脳力を発揮している人に対して、何を言っても仕方がないからと、両方をを知っている人に対して愚痴のようなことを言うと、そんなことだけが伝わってしまうことがあります。

自分は口が固いから、少なくとも先方に話をすることがないから、と言っていたのに、しっかりと相手方に伝わっていて、「言われのない悪口を言われた」「事実無根のことが言われている」ということまで言い出す始末です。

見返りなしに金銭が発生する仕事をやってくれる人が今の時代にいるのか、ということを考えれば、すぐにわかりそうなものですが、そういったことさえも忘れる人がいるのは事実です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕