忘れる脳力14 「適応障害」的行動

思考がまとまらないままに行動するのは、医学的には統合失調症、適応障害、発達障害の一つの注意欠陥・多動性障害などと判定されることにもなります。

適応障害は100万人以上とされていて、100人に1人の割合で、これは統合失調症と同様に、それほど珍しい疾患ではありません。

適応障害は、ある特定の出来事(転校、転勤、配置転換、新しい人間関係など)が、その人にとっての主観的な苦悩を生み出し、そのために気分や行動面に症状が現れる症状を指しています。主観的な苦悩というのは、とても辛くて、耐え難い感じであると説明されています。

憂鬱(ゆううつ)な気分は誰にも起こり得るものですが、これを自分なりに処理して通常の行動をしていく対応力を多くの人は持ち得ています。ところが、憂鬱な気分や不安感が強くなると、涙もろくなったり、過剰に心配する、神経が過敏になるということが起こり、これが適応障害の反応とされています。

不安感が強まると、身の周りの環境にうまく適応できなくなり、苛立ちや集中力の低下などの心身の症状が現れてきます。そのために学校や会社、家庭などの社会生活に支障をきたすようになります。

実際に起こる症状としては、不安、抑うつ、焦燥、過敏、混乱などの情緒的な症状だけでなく、いろいろな症状がみられます。身体症状としては、不眠、食欲不振、心身倦怠感、易疲労感、頭痛、肩こり、腹痛などがあげられます。

問題行動もみられるようになり、遅刻、欠勤、早退、過剰飲酒、ギャンブル中毒などがみられる例もあります。

これらの症状のために、次第に対人関係や社会機能が不良となり、仕事にも支障をきたし、会社を休みがちにもなります。

適応障害と診断されるまでは行かないものの、これらと同様の状態に悩まされている人は少なくありません。そのことが仕事の効率を低下させるだけでなく、注意不足、感情のコントロールができないことにもなり、これが事故のリスクを高めることにもなります。

自らをコントロールするために、周囲の小さなことに気が回らなくなり、これが積み重なっていくことで、生きにくくなりがちなだけに、忘れてよいことと、忘れてはいけないことを的確に区別できるようにする調整能力(脳力)が私たちには備わっているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕