忘れる脳力16 「注意欠陥・多動性障害」的行動2

発達障害の一つの注意欠陥・多動性障害は、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが特徴的となっています。

小学生では、多動・衝動性の症状には、座っていても手足をもじもじする、席を離れる、おとなしく遊ぶことが難しい、じっとしていられずにいつも活動する、しゃべりすぎる、順番を待つのが難しい、他人の会話やゲームに割り込むなどということがみられます。

多動性は特に目立ちやすい特徴で、幼いころから絶えず動いていて、じっとしていることがない、学校では授業中に席に座っていることが難しく、教室をウロウロしたり、教室の外に出ていくこともあります。

不注意は最も目立ちにくいものの、注意欠陥・多動性障害の中心的なものとなっています。多動性と衝動性は成長とともに改善されることが多いのに対して、不注意は成長しても残りやすく、大人になってからは不注意が中心になります。必要なことに注意を払えないことや注意が持続できないだけでなく、不必要な注意を止められないという注意力のコントロールができないこともあります。

不注意の状態には、部屋が片付けられない、忘れ物や紛失が多いことのほかに、話を最後まで聞いていられない、学校の勉強でうっかりミスが多い、課題や遊びなどの活動に集中し続けることができない、話しかけられていても聞いていないように見える、ボーッとしている、やるべきことを最後までやり遂げない、課題や作業の段取りが下手、整理整頓が苦手、宿題のように集中力が必要なことを避ける、気が散りやすい、周囲から怠けているとみられるなどがあります。

多動性は、一般的には成長とともに軽くなっていく傾向がありますが、不注意や衝動性の症状は半数が青年期まで、半数は成人期まで続くと報告されています。また、思春期以降に、うつ症状や不安症状を合併する人もいます。

衝動性は年齢相応に感情や欲求をコントロールできずに、守るべき社会ルールを頭では理解していても、衝動に駆られて破ってしまいます。そのことを指摘されると、カッとなって手が出てしまうという悪循環を起こしがちです。衝動をコントロールする力の発達が周囲の子どもよりも遅いという見方もあり、成長に連れて徐々に衝動性が目立たなくなるケースもみられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕