記憶したことが覚えていられないというのは、今日の食事内容は覚えていても、一昨日の食事内容は覚えていないという状態のことですが、その原因は時間の経過だけではありません。毎日、習慣的に同じものを食べているようなことがなければ当たり前に起こることです。
もう一つの原因は、記憶による干渉です。これは似たような記憶が複数あることで、それらが干渉しあって忘れてしまうことです。
記憶に大きな役割を果たしているのは海馬です。海馬は大脳側頭葉の内側にあって、短期記憶を長期記憶としていく重要な器官です。短期記憶は、同じようなことがあると、それらを明確に区別することができなくなるという特徴があります。ところが、海馬は短期記憶を整理して大脳皮質に長期保存させる記憶の仕分け役をしていて、記憶の干渉が起こることはありません。
短期記憶というのは、いわゆる一夜漬けのことで、複数の情報を一時的に保存する記憶の仕組みです。まさに一夜漬けで、試験が終わった翌日には完全に忘れている状態を指します。短期記憶は、前回(忘れる脳力1)で紹介した覚えたことを机の天板に並べて置いているような状態で、そのままだと忘れてしまうことになります。
海馬を通じて天板の記憶を机の引き出しに仕舞うことができると長期記憶となります。天板の上に置くことができる記憶は限られていても、引き出しにしまっていくと長期保存となって、大量の情報を長期保存することができます。
長期記憶は短期記憶を繰り返すことによって実現されるということで、同じことを何度も覚えるようにすること、何度も記憶から引き出すことによって、しっかりとした記憶になって長期保存できるようになるのです。そして、いつでも引き出して、活用することができるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕