忘れる脳力22 脳は100%使われていないのか

脳には限りない可能性があり、脳の中には覚えようとすれば、いくらでも入ってくるという考えがある一方で、脳は10%しか使われていないという説もあります。実際に10%しか使われていないことはなくて、結論からすると100%が使われています。

脳細胞(神経細胞)は大脳に約160億個、小脳に約690億個、脳全体では約1000億個にもなり、その数は誕生してから変わることはありません。数は変わらないものの、誕生後の赤ちゃんの脳の重量は約400gで、成人の3分の1ほどです。脳は使うことによって、細胞が成長して大きくなっていくということです。

その脳細胞は20歳を過ぎると1日に10万個が減っていくとされています。1000億個に比べると大きな量ではないものの、全体的には毎年0.5〜1%は減っていくようになります。

脳細胞の一つひとつはエネルギー源を取り入れて、これを細胞内のミトコンドリアでエネルギーを作り出しています。そのエネルギーを使って、それぞれの細胞の生化学的な役割を果たしています。脳細胞では、エネルギーがフルに使われて神経伝達が行われているので、脳細胞が破壊されるようなことがない限りは100%が使われているのです。

それなのに全部が使われていないと表現されるのは、記憶に関して個人によって大きな差が生じているからです。同じだけの勉強をしても記憶される量に違いがある、記憶しているのに出てこない(発揮されない)ということは多くの人が経験していることです。

脳細胞は、数が増えない、減っていくといっても、それは数の話であって、働きをよくすることによって全体の記憶容量を増やすことができます。脳細胞は長い形をしていて、これが結びつくことによって働きが高まります。勉強も仕事の経験も運動も神経伝達が盛んになる必要があることから、結びつきが多くなって、インターネットのように網の目が密になっていきます。

そのため、経験を重ねることで必要なことが多く入るようになり、情報交換によって上手に使うことができるようになります。しかし、多くの情報がありすぎると、肝心な覚えたいことが蓄積されず、逆に忘れたいことが消えていかないということも起こります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕