「初心にかえる」は漢字では帰るも返るも使われます。これは使い間違えや記憶違いということではなくて、主体(意味合い)が違っています。どちらも辞書に載ってはいるのですが、帰るは主体が人の場合に使われていて、返るの主体は心のあり方です。
初心を忘れてはいけないという意味で使われる「初心忘るべからず」は、“返る”が正しいことになるところですが、根源となるところに戻るのは“還る”が使われます。
このような用語の違いを納得して使うためには、自分にとっての初心とは何か、「初心忘るべからず」と再認識したことを思い起こすことが重要との考え方をしています。自分にとって、これまでやり続けてきたことを、そのまま続けるのか、それとも止めるのかを考えたときのことを例として書かせてもらいました。
自分の健康のアイデンティティ(自我同一性)として、ずっと追い求めてきたのは「日本人の体質」でした。ここまで研究すれば、もう新たなことに挑戦しなくても大丈夫だろうというところまで進んだときに、「初心に還るしかない」と決断させることになったのは、これまで日本人の体質として掲げてきたこと、文章化したことが通じない人が増えてきたことでした。
これまで行ってきたことが正しかったという前提での研究の継続を続けるのか、それとも間違っていたところがあるとの考えで見直しをするのかの決断を迫られたときに、考えついたのは両方を組み合わせることでした。
“日本人”というのは、数千年前に日本に訪れた渡来人まで遡ることはしないとしても、少なくとも3世代(曽祖父)前の時代まで日本人同士で結婚した人という前提をとっています。
途中で東アジア出身の人の血が混ざったとしても、外見が変わらないのは普通に考えられることで、体質も同じように考えられがちです。見た目が同じようだと体質も同じというのは、体質研究をしてきた立場からは言うことはできません。
というのは、中国、韓国、モンゴルなどの東アジアの方々は北方系であって、全身の細胞のエネルギー代謝からして日本人とは違っています。そこを考えると、血管の状態、免疫、コレステロールの代謝、腸内細菌の種類などの違いがあるのは当然のことで、これまで常識とされてきた健康づくりの手法が通じない人が増えてきているのは仕方がないことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕