「求不得苦」という言葉があり、これは八苦(四苦八苦の八つの苦)の一つです。求めるものが得られない苦しみのことですが、ただ得られないだけでなく、本来なら欲しがらなくてもよいものを求めるばかりに、これが苦しみになってしまうということを指しています。
他の人であれば、充分であると感じて、これ以上を求めないのは普通であると考えられるところであるのに、求めないと不安になり、手に入れたものを手放せなくなってしまうことで、“持てる者の悩み”と言われることもあります。
この苦しみは贅沢な悩み、苦しみという周囲の見方とは違って、本人にしてみれば“地獄の苦しみ”にも感じることがあります。これは浄土真宗の開祖である親鸞聖人の言葉を借りるなら「自業苦」と書いて「じごく」と読んで、これは地獄に通じます。
自業苦は自業自得の自業で、そのために苦を感じることで、それまでやってきたことが自業苦を生み出しています。これだけで終わりではなくて、次に出てくる言葉が重要です。それは自業苦を生み出した“業”による苦を楽に変えることで、「業苦楽」(ごくらく)に変えることができます。
この考え方からすると、業苦楽は自業苦を体験した人に訪れるもの、自業苦を体験しなければ得られないものということになります。
しかし、もっと欲しい、もっと上に立ちたいという気持ちを変えることは難しく、完全に忘れることは不可能という状態といえます。
それならば、何が必要なのか、何が必要以上なのかを知り、自らを苦しめるようなことになるものからは離れる、できることなら忘れるようにするということを選択できるようにすべきではないかという提案をしています。
そのためには、これまでの延長であったり、習慣として繰り返すだけでなく、立ち止まり、振り返り、左右を見て、上下を見て、さらに過去も未来も見るようにして、自分を見直すような心構え、覚悟が必要になってくるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕