腸の状態は、単に便通があるかないか、便通があったとしても出方や出るものの状態だけで“善し悪し”が判断できるものではありません。
便通がよくない状態というと、便秘がよく例にあげられます。便秘は1週間に便通が何回あるかが一般には判断基準として使われますが、回数もさることながら排便がないことによって腹痛などの苦しみがあることが便秘の重要な条件とされています。
医学的にはガイドラインに基づく診断が推奨されています。それは日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症」で、「自発的な排便回数が週に3回未満である」「排便をするときに4回に1回は強くいきむ必要がある」「硬便である」「残便感がある」といった項目が記載されています。
また、日本内科学会では、便秘は「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と定義しています。
2つの学会の基準に共通しているのは、排便回数が少ない、排便があっても困難な状態があるということで、定期的に排泄されているから大丈夫ということではないのです。
日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023」は初めてのガイドラインであって、「慢性便秘症」と「慢性下痢症」の2冊が発行されています。
快腸といっても、定期的な便通のための現状の改善が重要であって、問題となっているのが便秘なのか下痢なのかによって対応は大きく違ってきます。
食事療法でも食物繊維の摂り方がまったく違っていて、便秘の場合には食物繊維の摂取量を増やすようにして、下痢の場合は食物繊維の摂取量を減らすようにします。ということになると、便秘と下痢を繰り返す状態の人の場合は、食べるものの内容を日々の状態によって変化させないといけないということで、さらに困難な状態であることがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕