快腸デザイン15 腸内細菌の整え方

赤ちゃんは善玉菌が非常に多くなっているものの、離乳期を過ぎると悪玉菌が増えていきます。特に増えるのは悪玉菌の代表であるウェルシュ菌で、これは中高年以降には大きく増えていきます。

その一方で、善玉菌の代表であるビフィズス菌は減る一方となり、悪玉菌が優勢になっていきます。その理由として、加齢による腸内の酸性度の低下が大きいためだと考えられています。

若いときには胃液と十二指腸での腸液の分泌が盛んになっていますが、年齢につれて徐々に分泌量が減っていきます。胃液と腸液は強酸性で、分泌量が多いと胃と腸の中は酸性に保たれています。

善玉菌は酸性の環境に強く、悪玉菌は酸性では活動が弱まります。腸液は小腸下部では薄まっていくため、そこから大腸にかけては悪玉菌が増殖するようになっています。

小腸には酸素が存在しているため、酸素の有無に関係なく生育できる通性嫌気性菌の乳酸桿菌が多く棲み着いています。盲腸から大腸に進むと、ほとんど無酸素状態になり、酸素が嫌いな偏性嫌気性菌が多くなります。偏性嫌気性菌の代表はビフィズス菌、バクテロイデス菌、ユウバクテリウム菌などがあります。

腸内細菌の善玉菌の栄養源(エサ)となっているのは、糖質、乳製品(乳糖)、食物繊維です。和食(日本の伝統的な食事)には糖質が多く、食物繊維が多く含まれていることから、善玉菌を増やしやすい食事となっています。

食物繊維は、人間の身体の中の酵素では消化されない食物成分のことで、消化されないために吸収もされず、ほとんど形を変えずに大腸まで届き、腸壁を刺激しながら排泄されます。しかし、腸内細菌によって分解されると善玉菌の栄養源として使われることから分解されて単糖(ブドウ糖や果糖など)の形になり、善玉菌の栄養源として使われます。

腸内細菌の悪玉菌の栄養源となっているのは、主には動物性たんぱく質、脂肪です。洋食は肉が多く、肉には脂肪が多く含まれていることから、悪玉菌を増やしやすい食事となっています。

肉と比較すると魚は全体的に脂肪の量が少ないとはいえ、魚にも脂肪が多いものがあり、摂りすぎると悪玉菌を増やす要因となります。

肉や魚を食べるときには、不溶性食物繊維が多く含まれる野菜や根菜類、水溶性食物繊維が多く含まれる海藻、キノコ、果物も摂ることを心がけます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕