よく歩くようになると便通がよくなることを感じている人が多くて、ウォーキングの健康効果について話をすると、その理由を聞かれることがあります。
それについて運動科学の専門家が、左右の足を交互に前に出すことによって、腰が捩れるようになり、そのために腸がマッサージされるようになると話していました。その専門家と一緒のセミナーで話すことになり、私は専門家の後に登場しました。
そのときに話したのは、腸のマッサージ効果に加えて、「腸の血流がよくなる」ということでした。ウォーキングに限らず、運動をすることによって血流がよくなると、温かな血液が末端の毛細血管まで勢いよく運ばれるようになります。そして、腸が温められます。
腸内細菌の善玉菌は、温かな温度の環境で活性化して増床するので、善玉菌による変化(便が増える、便が軟らかくなるなど)が起こるようになります。有酸素運動は、全身に届けられる酸素が増えることで、細胞の中でエネルギー代謝が盛んになり、ますます腸内は温まるようになります。
全身で発生するエネルギーのうち半分ほどは体熱の維持に使われています。ということは、エネルギー発生量が多いほど、身体は温まるようになります。
これを論拠とすると、“マッサージ効果”が薄れてしまうことになるので、セミナーなどでは両方の効果によって便通がよくなるという話をするようにしています。
早歩きを短時間だけしても、ゆっくりと長めに歩いても腸の捩れの回数は変わらないということもあります。適度な速度(いわゆるスタスタ歩き)で歩くと、酸素の吸い込む量が増えて、エネルギー代謝がよくなります。
両方のよさを上手に使うには、必死に歩いて苦しい思いをするわけではなく、かといってダラダラと歩くのではなくて、元気に歩くこと(一緒に歩いている人と会話をしながら続けられる早さ)で歩くことをすすめています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕