快腸デザイン23 飲酒と便通の関係

飲酒をすると便が軟らかくなる、軟らかくなりすぎて下痢に近くなる、場合によっては下痢にもなる、ということが起こります。これはアルコールの作用によるもので、飲酒量(アルコール度数×量)によって腸の状態が違ってきます。

これは飲酒によって小腸から吸収される水分の量が減って、腸内の水分が増え、その結果として便に含まれる水分量が多くなった結果として起こっていることです。なぜ、そのようなことが起こるのかというと、アルコールによる浸透圧の変化です。

アルコールは胃から約20%、小腸から約80%が吸収されています。小腸からは消化された食べ物が吸収されていますが、アルコールのような高浸透圧物質が小腸内に多量にあると小腸の粘膜の毛細血管から水分が小腸内に移動するために水分量が多くなります。

また、アルコールによって小腸の粘膜が刺激されて、粘膜からの水分の吸収量が減ります。その二つの作用が起こることによって便に含まれる水分量が多くなりすぎて、下痢にもなってしまいます。

便に含まれる水分量ですが、健康な人では通常は70〜80%を占めています。軟便は80〜90%で、90%を超えると下痢となります。わずかな差で、便の状態が大きく変化するということです。

便の状態は水分だけで決まるものではなくて、腸内細菌のバランス(善玉菌と悪玉菌の割合)、腸管を刺激して蠕動運動を盛んにするミネラルであるカルシウムとマグネシウムの食事やサプリメントでの摂取量によっても変化していきます。

アルコールの濃度が高いほど、その量が多いほど、飲酒後には軟便、下痢になりやすいので、適度な状態を保ちたいなら、飲酒の質と量を考えるようにしたいと言われます。そのように指導されることもあるのですが、他の条件も考えて、飲酒量を減らせばよいと断定することはできないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕