悪玉コレステロールという言葉が広まってしまったせいか、コレステロールといえば悪いものというイメージを抱く人が増えてしまいました。コレステロールは決して悪いものではなくて、コレステロールは全身の細胞の細胞膜の材料であり、ホルモンの材料でもあります。また、脂肪を分解するために十二指腸から分泌される胆汁酸の材料もコレステロールです。コレステロールなしには、生命維持ができないほど重要な存在なのです。
それなのに“悪玉”という名がつけられてしまったのは、コレステロールを全身の細胞に届けるための輸送役をするLDL(低比重リポたんぱく)が血液中に多いほど動脈硬化のリスクが高まるからです。だから、LDLは悪玉コレステロールと呼ばれるようになりました。LDLによって全身に運ばれたコレステロールが多くなりすぎたときには、そのコレステロールを集めて肝臓に運び去る必要があります。その役割をしているのがHDL(高比重リポたんぱく)です。その働きから“善玉”と名付けられているのです。
LDLはコレステロールを多く積んでいるトラックのようなものであり、HDLは積んでいるコレステロールが少ないので余分なコレステロールを積んで運んで行ってくれるトラックのようなものです。つまり、コレステロールには役割があって、そのコレステロールを運んでくれるLDLを“悪玉”と呼ぶのは正しくはないということです。
LDLが増えて、コレステロールが血液中に多くなると、コレステロールが多く含まれる動物食品の肉や卵などを減らそうとする人がいます。そうするように指導する医師もいます。しかし、血液中のコレステロールの80%以上は肝臓で合成されたものです。食事から摂るコレステロールを減らしても、肝臓で合成されるコレステロールが多ければ、これを運ぶLDLも増えてしまいます。肝臓でコレステロールに合成される材料となるのは、余分に摂った糖質、脂質、たんぱく質で、要はエネルギー量の摂りすぎがコレステロールを増やし、LDLを増やすことになるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)