新型コロナウイルスに限らず、身体に害をなす外敵と戦うには、そのパワーとなるエネルギーが必要です。エネルギーというと理解しにくいかもしれませんが、全身の細胞を働かせるためのエネルギーは、三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を材料として、細胞の中のミトコンドリアという小器官で、TCA回路によってエネルギー産生を行っています。このエネルギーは他の細胞に伝わることはなくて、細胞の中だけで使われる地産地消型のエネルギーとなっています。
実際には発生するのはATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー物質で、ここからリンが1個離れたDTP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが発生しています。ウイルスと戦っている白血球も、抗体を作り出して外敵を攻撃しているリンパ球のB細胞も、そして直接的に外敵を攻撃するT細胞も、細胞であることから細胞内で作り出されたエネルギーを使って活動しています。つまり、このエネルギーがなければ免疫細胞の白血球もリンパ球も正常に働くことができなくなるということです。
TCA回路でエネルギー産生を行うためには、ビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が、すべて揃っている必要があります。栄養バランスがよい食事によってビタミンB群が摂取できていたとしても、ミトコンドリアにエネルギー源の糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)が通過するときに必要な代謝促進成分があります。ブドウ糖を通過させるために必要な成分はα‐リポ酸で、脂肪酸を通過させるためにL‐カルニチンです。この成分は以前は医薬品成分でしたが、今では食品成分としてサプリメントとしても摂ることができるようになっています。
α‐リポ酸もL‐カルニチンも体内で合成されている成分ですが、20歳をピークに体内での合成量が減っていきます。このことが年齢を重ねると代謝が低下していく大きな原因となっています。若いうちは必要がなくても、年齢を重ねると不足していき、高齢になると不足は大きな代謝低下につながり、免疫にも影響を与えるので、サプリメントとしての摂取の効果が現れるようになってくるということです。