感染拡大から考えるシングルマザー

シングルマザーとして生きていくことを選択するのは相当の決意が必要で、それでも決断したのは子育てをしながらも働くことができる環境があったからです。その社会的、経済的な環境は、いつまでも続くと思いがち、というか思い込みたいくらいの切羽詰まった状態での判断でしょうが、新型コロナウイルスの感染拡大によって起こった環境の変化をみると、76万人もいるシングルマザーの厳しさは想像を絶するものがあります。
テレワークができる業種の仕事をしているのなら、子育てしながらでも大丈夫だというという考えをする人もいるのですが、テレワークは会社勤めをしているか、フリーであっても会社員並みに稼げるような人でないと安定した仕事量の確保と子育てを両立させるのは困難なことです。
シングルマザーに、どんな支援が必要かを聞く機会がありましたが、普通に想像がつく子どもを預かってくれる施設や人、福祉的な支援ということではなくて、最も多い返答は「短い時間で稼げる仕事」でした。そのような仕事がないわけではないものの、子どもと一緒に生活しながらという条件がついた途端に極端に減ってしまいます。地域によっては、まったく存在しないということも珍しくありません。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまでの価値観やシステムでの仕事がうまくいかなくなった人たちが、新たな価値のシステムづくりに取り組み始めています。今の状況が1か月や2か月で収束するという甘い見方はしないものの、完全に終息すれば元の状態に戻れるという観測も甘すぎる認識かもしれません。感染拡大が収束するまでの間に、社会システムが変わるようなことになったら、第二次世界大戦後の焼け野原状態のようなもので、元の状態に戻すのに、どれだけの苦労が必要かということです。
これから焼け野原になった場合の新たなシステムづくりが始まっていく中、シングルマザーのことも考えた構築をしてほしいと願っているのです。