感染拡大から考える介護の重度化

新型コロナウイルスの感染拡大によって、外出自粛が要請され、免疫力が低い高齢者は特に自宅にいるように言われました。それだけでなく、高齢者の機能維持を担っていたデイサービスが中止になり、訪問介護も頻繁にというわけにはいかなくなりました。地方では公民館などの集会できる場所は高齢者ばかりということで、高齢者の利用を断るだけでなく、公民館を閉鎖した地方もあります。外出ができないと歩く機会が少なくなり、どうしても筋力が低下するようになります。
介護認定の基準は要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5と後ろに行くほど重度となっていて、身体機能と起居動作、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応で、立ち上がって歩行できることが重要な判定基準となっています。年齢が高くても、しっかりと歩くことができると要支援1にもならないことになります。
出歩くことは足腰や心肺機能の維持だけでなく、歩くことによって認知機能の維持につながることも確認されています。歩くことで、生活習慣病の要因となる血圧、血糖値、中性脂肪値を安定させることもできます。その効果のある歩行の機会を奪ったのが外出自粛であり、公的なサービスが受けられずに自宅にひきこもり状態でいるしかなかったことです。
介護問題というと高齢者の増加という年齢の問題とされてきましたが、新型コロナウイルス感染拡大によって歩く機会が減って、筋力が低下している実態を考えると、これからの介護問題は身体の高齢化に力を注いで対応すべきということがわかります。外出自粛は近所を歩くことまで自粛を求めていないと言われていますが、それでも途中で出会う誰が感染者かわからない状態では、安心して出歩くためにマスクくらいはしておきたいと思うところです。家庭にマスクがあっても、マスクがなければ学校に行けない子どもに優先させたら、高齢者にマスクは回りにくくなっています。
歩いて筋力を維持して、介護の重度化を抑制するためにも、外出ができて、効果的に筋力を高められるウォーキングを安心してできるようにしてほしいというのは多くの方々の願いのはずです。