発想の転換ということは大昔から言われてきたことですが、新型コロナウイルスの感染拡大から、今までの常識的な行動が実は常識ではなかったということに気づかされることが多くなりました。これが感染拡大防止で言われる“新しい生活様式”ということで、身近なところではマスクといえば使い捨てが当たり前だったのに、洗って使えるものが先に売れて(買いたくても使い捨てが不足していた)、「マスク=使い捨て」が通用しなくなりました。
すぐにも全世帯に届くと思われていた例のマスクが、まさか特別定額給付金よりも後になるということが起こり、新しい生活様式でも強調されるマスクの着用をしたくても、いまだに自由にマスクが買えないという状況が続いています。こうなると本来なら洗って使うべきではない、洗って使っていると感染防止効果がなくなるということが言われても洗うしかなくなりました。マスクがないから、マスクをしないで外出するということが、世間の目もあってできにくくなっています。
自分で使った使い捨てマスクを捨てずに洗って再利用するだけでなく、捨てようとしている人がいたら、それをもらって洗って使おうという人を、大丈夫かと笑っていられる時代ではなくなっています。洗って再利用するのでは感染を防止することができない、というよりも、そもそも一般の使い捨てマスクはサージカルマスク(医療用マスク)のような防止能力はないと発言する専門家も少なくありません。
しかし、新型コロナウイルスは症状が現れずに感染させていくという特性があって、ひょっとすると国民的に検査をしていない状態では、全国民が感染していることも想定しなければならない、これまでの常識が通用しない感染症です。もしも誰もが感染しているとするなら、他人からの感染は防ぐことができなくても、他人に感染させない能力の使い捨てマスクであったとしても、危機的状況にならないレベルにまで抑えることはできるはずです。となると、使い捨てマスクを洗って再利用する、しかもマスクの形をしている限りは使い続けるということもあり得る話です。
本来なら、使い捨てマスクは使い捨てしようと普通に言うことができる状態に、早くなってもらうことが普通のことではあるのですが。