感染拡大から考える免疫と脂肪の種類

血流をよくすることは免疫の向上の重要な条件です。血流がよいと免疫細胞の流れが早くなり、それだけ外敵に対して早く対応することができるようになります。血流がよい状態は「血液サラサラ」と表現されますが、血液がサラサラの状態になるかどうかの条件の一つは血液中の脂肪の種類と量です。血液中の脂肪が増えるとドロドロ状態になって、これが血流を低下させると説明されています。脂肪は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大きく分けられます。飽和脂肪酸は動物の肉類に多く含まれるもので、血液中では固まりやすくなっています。これに対して、不飽和脂肪酸は魚や植物に含まれる脂肪で、血液中で固まりにくいので、この不飽和脂肪酸がサラサラのための油とされています。
飽和脂肪酸が血液中で溶けにくく、固まりやすいのは温度に対する特徴が関係しています。体温が高い動物は血液温度が高くて、その高い温度で溶けている飽和脂肪酸は、それよりも温度が低い人間の血液中に入ると固まりやすくなります。血液温度は動物によって違いがあり、最も高いのは羊の44℃で、牛や豚、鶏は40〜42℃となっています。これに対して人間の血液温度は37.5〜38.5℃で、日本人の場合には37.5℃前後と低めになっています。ということで、日本人は特に飽和脂肪酸が固まりやすいことになります。
魚の血液温度は環境に合わせて変化しますが、水の中に棲息しているので、人間の血液温度に比べるとかなり低くなっています。その低い血液温度で溶けている不飽和脂肪酸は、人間の血液中では、さらに溶けることになるので、不飽和脂肪酸は血液サラサラの油となっているわけです。
新型コロナウイルスの感染防止には栄養補給が重要だと考えて、肉を多く食べることを考える人は多く、それをすすめている栄養の専門家もいます。しかし、血流が免疫に影響していることを考えると、肉ばかりを食べているのではなくて、飽和脂肪酸が増えて脂肪が固まりやすくなっている分だけ、それと逆の作用をする不飽和脂肪酸が多く含まれる魚を多く食べること、それも不飽和脂肪酸のDHAとEPAが豊富に含まれる青背魚を食べるようにすることがすすめられます。