新型コロナウイルスの感染拡大から免疫力を高める方法として、免疫細胞の流れを促進することがすすめられています。いわゆる血液サラサラで、免疫細胞が早く移動して、病原菌などに侵された部分に早く到着できれば、それだけ早く対処することができるというわけです。
血液サラサラのために摂ったほうがよいものは、過去に数多く紹介されていて、どれが一番なのかという争いが繰り返されてきましたが、どれがよいというよりも、いろいろな方法を組み合わせたほうがよいということがわかってきました。そこで掲げられた標語が「オサカナスキヤネ」です。
「オ」はお茶で、抗酸化成分のカテキンが豊富に含まれた緑茶を指しています。「サ」は魚で、標語と同じものですが、サラサラ系の不飽和脂肪酸が豊富に含まれるのは鰯、鯖、鮪などの青背魚です。「カ」は海藻類で、豊富に含まれる水溶性植物繊維は水を吸って膨らみ、胃の中で余分な脂肪を吸着する作用があり、血液中の余分な脂肪を減らす効果があります。「ナ」は納豆で、これも血液サラサラ食品の代表です。サラサラにしてくれるのはナットウキナーゼという特有の酵素で、血栓が作られるのを抑制する作用があります。
「ス」は酢で、クエン酸が血小板が集まりすぎるのを抑えて、血栓を作りにくくします。といっても一般の醸造酢に多く含まれるのは酢酸で、クエン酸が多く含まれているのは黒酢です。全身の細胞の中にはエネルギーを作り出すミトコンドリアという小器官があり、この中で脂肪酸がTCA回路の中での代謝によってエネルギー産生が行われます。TCA回路の初めにクエン酸があり、そのことからクエン酸を多く摂っているとエネルギー代謝が促進されると説明されています。「キ」はきのこで、これも水溶性食物繊維が豊富に含まれています。
「ヤ」は野菜、「ネ」はネギということです。ネギも野菜ではないか、というツッコミがありそうですが、ネギにはアリインという成分が含まれていて、体内のアリナーゼという酵素によってアリシンに変化します。アリシンは香気成分で、ビタミンB₁と結びつくとアリチアミンに変化して、吸収率が高まります。一般にはビタミンB₁の吸収率は50%とされていますが、アリチアミンは2倍近くも吸収されるといいます。ビタミンB₁には糖質の代謝を高めて、血液中のブドウ糖を減らす作用がありますが、ブドウ糖が増えすぎると肝臓で合成される脂肪が増えるために、これが血液ドロドロの原因にもなります。アリインが最も多く含まれるのはニンニクですが、標語の最後がニではつながりが悪いので、ネギを選択したということです。