感染拡大から考える免疫向上のための飲酒量

新型コロナウイルスの感染拡大のための営業自粛の一環として、お酒の提供が19時までに制限されて、飲酒量が減ったという人が多いのですが、これでは飲み足らないと自宅飲みする人もいて、かえって飲酒量が増える結果にならないか心配しています。というのは、飲酒量が免疫力に影響していて、飲み過ぎは免疫を低下させるからです。
飲酒量と健康への影響について初めに研究が行われたのは血圧との関係でした。適度の飲酒量と言われる日本酒に換算して1合の飲酒では血圧は低下します。2合になると血圧は元の状態に戻り、これを超えると逆に血圧は上昇することが知られています。この理由ですが、飲酒をするとアルコールはアルコール分解酵素によってアセトアルデヒドに変わるのですが、アセトアルデヒドには血管を拡張させる作用があります。そのために血圧が低下するわけですが、飲酒が続くと血管が拡張しすぎて赤血球の流れが遅くなり、全身の細胞に必要な酸素が充分に届けられなくなります。そのために、血圧を上昇させて赤血球の流れを促進させるようになるのです。
本題の飲酒量と免疫についてですが、1合の飲酒によって免疫力は上昇します。2合まで増えると免疫力は元の状態に戻り、それ以上の飲酒量になると免疫力は低下するようになります。血圧と同じような変化をしているわけですが、その理由として血流があげられることがあります。免疫細胞は血液中をパトロールしていて、早く駆けつけるほど外敵を早く戦うことができるので、これが免疫力の向上に結びつくというのは普通に想像できることです。
しかし、本当の理由は違っている、という意見もあります。適度な飲酒とされる1合ではホロ酔い状態になり、ストレスの解消につながります。この状態のときには自律神経は抑制系の副交感神経の働きが盛んになり、リラックス状態になります。2合の飲酒では副交感神経の働きが抑えられて、興奮系の交感神経が少し戻ってきます。そして、2合を超えると交感神経のほうが盛んになります。これが免疫力に関係しているということです。
このことは、あくまで一般的なアルコール代謝力がある人の話で、お酒に弱い人は、飲酒で免疫力を高めることは、あまり考えないほうがよさそうです。