感染拡大から考える全店舗閉鎖の影響

新型コロナウイルスはパンデミックに当たるとWHO(世界保健機関)が発表したのを受けて、急激に感染者が拡大しているイタリアは厳しい制限を加えています。パンデミックは国境を超えた最高レベルの大流行に対して発せられるもので、東京2020オリンピックの中止や延期の根拠とされています。
パンデミック対策の中では学校の休校、イベントの中止などはまだ軽いほうで、イタリアでは医薬品と食料品、日用品の店以外は30日間も全店舗閉鎖という決定をしました。日本で不足したマスクは医薬品店や食料品を販売する店で販売されていて、不足の原因はデマであることがわかったトイレットペーパーも慌てて買いに走ったのはドラッグストアとスーパーマーケットだったことから、感染防止と日常生活にギリギリ必要なものだけは買えるという状況にしたということです。
これではファッションも自動車もワインも、イタリアを代表する産業は何も販売することができなくなります。海外からの入国を制限しても、それが感染拡大地域だけであれば旅行者の購入を期待することはできても、その店舗が開いていないのでは海外からの旅行者の懐も期待できなくなります。国内の販売も当然のようにストップします。外食店もホテルも閉鎖となるのかは、まだわからないところですが、国が個人の自由を制限して感染防止に進もうとしている国が他にもあります。
我が国の緊急事態宣言も、その可能性があるということで、経済的な影響があまりにも大きなことから反対を示している人も少なくありません。イタリアは感染が急拡大している北部だけでなく、全土で移動が禁止され、国境を面する国々から国境閉鎖をされるような状況です。
海外に商品を販売して利益をあげている他の国も同様のことが起こり得るので、感染拡大だから非常事態と考えても仕方がないと安易に緊急事態宣言ができるような法律を認めてよいのか、経済が破綻したら、今後の感染拡大にも備えることができなくなるという観点から、議論を重ねる段階になっているのではないでしょうか。