東京一局集中を解消して地方の発展を目指す地方創生が、新型コロナウイルスの感染拡大によって変化を始めています。東京は地方にとっては憧れの土地でしたが、ここに至っては「東京から来た人、東京に行って戻ってきた人は2週間自宅待機」ということを言い出す県や地域まで出てきて、東京は感染拡大から避けられる地域にもなりつつあります。
地方創生というと、東京からの移住も期待しての体験イベントや、ふるさと納税を期待した特産物の紹介が重要となっています。地方創生のプランを提案するときには、単なる観光や販売だけでなくて、移住、地域の特産物は欠かせないアイテムとなります。地方創生事業のプロポーザル(企画提案による応募)では、このアイテムが、どれくらい重視されているかが大きな決定ポイントとなります。
地方創生のための会議は、感染が収束するまで延期という地域もあります。完全に終息するまで待っていたら実施が遅れてしまうので、少し治まってきた収束の段階で会議だけは再開させようということです。会議が開かれるということは、各地域の呼び物の観光地や施設が以前のように戻っていることが前提となります。
しかし、受け入れる自治体が新型コロナウイルスの感染拡大に対応するために、観光施設、公園、温泉、ホテル、運動施設なども閉鎖している場合も少なくありません。イベントは少なくとも夏までは中止されている地域もあります。地方創生は、地域の経済活性だけでなく、地域住民の健康の向上も目標の一つに掲げられています。できることなら全国から人を集めるイベントと住民の健康づくりを合わせて実施するような企画提案も求められます。それなのに、住民の健康づくりを支える体育館、プール、図書館、公民館、グラウンドなどの住民が集う場所も閉鎖されている地域もあります。
それも、まだ感染者が多くはない地域で、行き過ぎではないかと思えるほどの感染拡大防止対策がされていますが、それは感染によって地方創生で作り上げてきたイメージが崩れること、移住が減ること、特産物の流通が減ることを恐れての先回りの手立てです。それくらい今は新型コロナウイルスの感染者を出したこと、しかも感染クラスターとなったことが報道されると、風評被害で済まない決定的なダメージを与えてしまうということです。