感染拡大から考える抗体と免疫の関係

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、ウイルスの変異が大きく関係しています。ウイルスが変異しなければ、ワクチンによって抗体を増やしてウイルスを抑えやすくなります。ワクチンは一つの種類のウイルスに対して効果がある抗体を作り出すことができるものなので、ウイルスが変異をしたら、そのウイルスに対抗する抗体を作り出すワクチンを開発しなければならなくなります。初めのうちは変異によって2種類のウイルスが誕生したと言われていましたが、種類が増えている今ではワクチンを開発しても戦えないかもしれないという状況になりつつあります。
ここで取り上げるのは中国のデータなので、どこまで信用してよいのかという議論があるところですが、中国では高齢者は若者に比べて抗体が作られにくく、抗体があるのは若い人の5分の1以下だったという発表がありました。また、抗体が作られた人でも若者は高齢者の3倍も抗体が作られるとの発表もありました。免疫力は20歳代をピークにして年齢を重ねるほど低下していきます。調査によって低下の度合いは違っているものの、ピーク時に比べて60歳では50%になり、80歳では10%にも低下するという研究もあります。
抗体は免疫細胞のリンパ球の一つのB細胞によって作り出されるもので、抗体はウイルスを攻撃する弾丸のような働きをしています。免疫力が強いか弱いかは、抗体の数に関わっています。
加齢によって免疫力が低下しているうえに、新型コロナウイルスは高齢者ほど抗体が作られにくいとなると、これが感染者で重症化しやすいのが高齢者だという特徴の要因となっていることがわかります。免疫力を高める方法は、いくつも紹介されているものの、ウイルスが次々と変異をしていって、ウイルスを抑え込んだとしても、次々と襲ってくることを考えると、検査で陰性になったからといって安心することはできなくなります。治ったと思っても再燃する、再発するという状況では、いつまで外出自粛が続くのか想像がつかなくなります。