感染拡大から考える日本の食文化

日本人は年齢を重ねるほど食事が淡白になっていく傾向があります。肉食中心だった人も魚食が多くなり、味付けも脂肪と塩分が少なくなり、あっさりとした味わいを好むようになっていきます。日本人は血管が弱くて、年齢を重ねると血管の老化が進みやすく、動脈硬化を起こしやすくなり、血管系疾患の心疾患、脳血管疾患を発症するようになります。日本人は世界トップクラス(世界第2位)の長寿国ですが、それに比べると健康寿命は寿命の割には短くて、男性で約9年、女性で約12年もの差があります。この期間は運動機能の低下から自由に動けない年数のことです。動脈硬化を予防して、健康寿命を延ばすためには、血管に負担をかける脂肪の量は減らすべきで、日本人の食傾向の変化はプラスとなっているわけです。
新型コロナウイルスは免疫の強化が感染、発症に関わっていることが知られていますが、肉食は免疫にとってはマイナスに作用します。免疫の強さは若いときには胸腺の働きが関わっています。胸腺は免疫細胞のリンパ球の働きを高める器官ですが、胸腺の働きは40歳を過ぎると低下していきます。それを補っているのは腸管免疫で、腸管にあるパイエル板という免疫細胞が集まっている部位が病原菌やウイルスなどの外敵をキャッチして、外敵に対して最良の組み合わせのリンパ球が出撃します。
腸内が綺麗な状態であると外敵とパイエル板が接触しやすく、それだけ免疫システムが働きやすくなります。腸内を綺麗にするのは、腸内細菌の善玉菌を増やして、悪玉菌を減らすことです。善玉菌を増やす栄養源(エサ)になるのは糖質と食物繊維です。善玉菌を増やすには乳製品も有効となりますが、乳製品には乳糖が含まれていて、これが善玉菌のエサとなります。悪玉菌のエサになるのは動物性たんぱく質と脂肪です。
このことから考えると、和食は善玉菌が増えやすく、洋食は悪玉菌が増えやすいことがわかります。年齢を重ねるほど免疫は低下していくので、それに対応するには善玉菌を増やすことができる淡白な食事である和食を増やすことが重要だということがわかります。