感染拡大から考える理美容店の自粛と流出人口

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、東京都が緊急事態宣言を受けた休業要請を打ち出しました。初めは理美容店も休業要請がされる予定でしたが、政府の意向を飲む形で、医療機関、百貨店、スーパーマーケット、ホームセンター、飲食店、金融機関、銭湯、質店と並んで理美容も社会生活の維持に必要な施設として営業が続けられることになりました。
これが決着するまでメディアでは、政府の意向を受けているのかと思われるようなコメンテーターが、外出自粛の中で行列ができていたパチンコ店を例にあげて、東京都のパチンコ店が閉鎖されると周辺の県に移動してパチンコをするので、東京からの流出が起こると言っていました。これでは県境を越えての移動の自粛を訴えかけているのと逆行するのではないか、という発言をしていました。欲望というのは抑えにくくて、依存症も起こるとされるパチンコでは中毒者が快楽を求めて移動することは当然のように考えられることです。
しかし、東京でパチンコ店に通っていた全員が神奈川県、埼玉県、千葉県に移動するわけではありません。そもそも3つの県のパチンコ店も外出自粛の中でも混雑していました。そこに東京都からパチンコ愛好者が大挙して移動しても店に入りきらないので、コメンテーターが言うような大挙の移動は起こりません。密接はマスク着用で会話禁止としての入店を徹底させたとしても、密室と密着が避けようがないのがパチンコ店なので、濃厚接触の場所ということになります。
パチンコ店を提示していましたが、発言の本丸が理美容店であるのは明らかです。穿った考え方をする人の中には、理美容の業界団体の支援を受けている政党も政府の構成メンバーであるのだから、認めるわけにはいかないという考えをしていました。その政党の支援者の支持を選挙のときに受けたいから、都知事は最初にゴネて、次に方向転換をしたという穿った考え方をする人もいました。
風俗店は不要不急ではないということで休業要請対象となるので、関東圏と関西圏の風俗難民は中京地域に移動するのではないか、と愛知県を緊急事態宣言の対象地域にすることを応援するコメントもありましたが、これも発言としては、どうかと思います。