感染拡大から考える葬儀のリスク

新型コロナウイルスの感染で亡くなった人は、通常の葬儀によるお別れができないということが、芸能人が亡くなったことに関連する報道で明らかにされました。亡くなった病院から感染しないように包まれた遺体収納袋によって火葬場に運ばれ、火葬に立ち会える人も1人だけに限定されて、骨壺に入った状態で帰宅するという状況になっています。この流れでいくと、葬儀は行われません。場合によっては棺桶が使われることもありません。
これはロックダウン(都市封鎖)がされていない日本での話で、感染拡大が止まらない状況の国では病院から火葬場に直行です。これでは葬儀業界は上がったりの状態ではないかとの疑問も湧いてきていますが、業界としては仕事が減るものの、1年間の死亡数は約137万人なので、新型コロナウイルスで亡くなる人は少数でしかありません。そのために、安心感を抱いている業界関係者がいるのも事実です。
しかし、新型コロナウイルスの恐ろしいところは、感染していても検査で陰性となる人が多くて、症状が現れない人もいます。感染が拡大している地域では、すべての人が感染している可能性があり、亡くなってから検査をしたら実は新型コロナウイルスに感染していたことがわかったという例も少なくありません。これを新型コロナウイルスの感染者にカウントするとなると、さらに感染者が増えていくことになります。
感染拡大が収束して、さらに終息したときにも不安はあります。これはウイルスの特性と関係していてウイルスは人間の細胞に寄生して生き延び、細胞の中で増殖して、他へと感染していきます。ウイルスは寄生した人が亡くなったあとにも、しばらくは生き残っています。そのため、亡くなった人からも感染してしまうのです。そのために、感染症が拡大している地域では、死亡した人を速やかに搬送して、そこから拡大しないようにしています。日本の法律では、感染症で亡くなった人は24時間以内の火葬が義務づけられています。
人間は生きている間は免疫システムによってウイルスや細菌を抑えています。亡くなった瞬間から免疫が働かなくなるので、免疫によって抑え込まれていたウイルスが急に増殖することになります。検査によって陰性であったとしても免疫が抑え込んでいた結果であった人が、亡くなったあとの増殖で陽性状態になるということで、感染拡大の時代には葬儀は大きなリスクとなっているのです。