運動をすることは免疫力を高めると言われています。新型コロナウイルスの感染拡大に対して緊急事態宣言を首相が発出したときには、防止のために自粛するべきことを列挙したのに続いて、散歩とジョギングは制限されないとされました。これを受けて、医学や運動の研究者は運動の重要性をあげ、人が密集していなければ大丈夫ということを発信しました。
運動がすすめられるのは、単に運動不足の解消だけではなくて、免疫力が高まるからです。免疫力を高めて、新型コロナウイルスに打ち勝つ方法の一つであることから言われたことですが、運動をすれば必ず免疫力が高まるわけではありません。身体に大きな負荷をかける運動は免疫力を低下させることになります。金メダルを目指すトップアスリートやボディビルダーは、身体を追い込むところまで追い込んでいくと、一時的に免疫力が低下して、身体の状態は整ったものの、免疫力が下がったことで大切な大会の前に風邪をひいた、大会で最良のパフォーマンスが発揮できなかったということは普通にあることです。
免疫力を高める運動は、よく言われる「適度な運動」です。適度な運動については、さまざまな研究機関によって研究成果が発表されています。WHO(世界保健機関)、CDC(米国疾病予防管理センター)、AHA(米国心臓協会)は有酸素運動についてガイドラインを発表しています。対象者は中高年ですが、ウォーキングなどの中程度の運動を週に150分、できれば30分の有酸素運動を週に5回、というのが広まっていますが、この他にもランニングなどの少し激しい運動を週に75分、25分を週に3回という運動もすすめられています。
これによって、まったく運動をしていない人に比べて病気の死亡リスクが低下することがわかったのですが、運動をするほどリスクが低下するものではなくて、かえって過剰な運動は免疫力を低下させることになります。また、適度な運動であっても、体力が大きく低下している状態だと、やはり運動をすることによって免疫力が低下していくことになります。
高齢者の健康維持のために、1日に8000歩、そのうち20分間は中等度の早歩きがよいとの研究成果があり、今では1日に1万歩ではなく8000歩が目標とされるようになりました。20分間の中等度の早歩きは2000歩が目安となっています。これは免疫力を高めるためにもよい方法となります。