新型コロナウイルスの感染拡大から社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)が認識されるようになりました。この物理的な距離こそが感染を予防する最良の方法ということですが、密閉空間でないからと公園や海岸に多くの人が密集して距離が保てない状況も起こっています。3つの密を避けるというのは伝わりやすいメッセージで、それなりの効果をあげたものの、3密が言われたときの国の対策はクラスター感染を防ぐことが第一でした。そのために第一に「密閉」があげられました。
今は感染源が判明しない感染が多くなり、誰から感染するかわからない状態で、そちらのほうを重視した対策を取るなら3密の並び順を変えるべきですが、いまだに「密閉」「密集」「密接」の順番となっています。多くの人が集まる場所の感染リスクが高いので、まずは密集、密着を防ぐということで集まらないようにすることを第一にすることです。次に、密接といってもわかりにくいので近くに寄らないということにして、最後に密閉空間とすべきです。
近くに寄らないということも初めのうちは2メートルの距離を開けるように言われました。これは欧米の6フィート(約1.8メートル)から考えたものでしたが、1.5メートルでよい、さらに1メートルでよいと変わっていきました。この距離は平常時の距離であって、興奮して大声を出すような状況だと1.5メートルでも短いくらいです。ジョギングをすると前を走っている人の息から飛沫感染する危険性があるので、10メートルの距離は必要です。走っている人とすれ違う状態だと、10メートルでも危ないかもしれません。ウォーキングで5メートル、散歩で3メートルということを言っている専門家もいます。
緊急事態宣言のときに首相は、散歩やジョギングは問題ない、と言っていましたが、そのときに歩いている場合は、走っている場合は、どれくらいの社会的距離を開ければ密接にならないかの情報も伝えてくれれば、もっと安心することができたはずです。