感染拡大から考える食料自給率

新型コロナウイルスの対策のために、中国では食料の生産にも影響が出ているうえに、食料を国内に回すことを優先させるために、どうしても輸出が減ることになります。これは中国に限った話ではなくて、新型コロナウイルスが広がっている国でも同じような傾向となることは当然のように考えられることです。
となると、中国からの食品が多い国、中国への依存度が高い国は、食糧難にもなりかねません。日本は食品の輸入量が多く、中国からの輸入なしには成り立たないものもあります。
日本は食料自給率が低くて、全国民が食べている食品のうち37%しか国内で生産されていないと一般に言われます。一般に、という表現をしているのは、この37%という割合が食品の分量ではなくて、カロリーベースとなっているからです。カロリーベースというのは、食品のエネルギー量で輸入食品と国産食品を分ける考え方で、このほかに重量ベースや金額ベースという数字の割り出し方があります。それなのに、わざわざカロリーベースを採用しているのは、この食料自給率が最も低い数字になっているからです。
カロリーベースは、エネルギー量が高いものほど数字が上がっていくので、脂肪が多い肉の輸入が多くなると、それだけカロリーベースの食料自給率は下がっていくことになります。これは実は大きな問題ではなくて、カロリーベースには、その食品を育てるために使われている飼料も含まれています。豚や牛、鶏などの飼料に輸入食品が使われている場合には、その割合が勘案されます。例えば、国内で育成されている牛が40%で、そのうち飼料の穀類の輸入割合が80%だとすると国産の牛についての自給率は8%(40%×20%)と下がってしまいます。
スーパーマーケットに行って、そんなにも輸入食品がないのに、なぜ食料自給率が低くなっているのかという疑問がありますが、実際の食品の輸入の割合は63%です。このうち中国からの食品輸入は12%となっています。これが一般の市場に出回っているわけではなくて、国内で製造される加工食品の材料ともなっています。だから輸入食品であることが見えにくくなっています。とはいえ、この中国からの輸入分がなくなったら、食事量を減らさなければならない事態が起こってしまうということになります。