新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むためには、8割減の外出行動を自粛することが求められています。1日に10人に会っていた人は2人だけに減らすという単純なことではなくて、自動車での移動の場合には一緒に乗車している人だけを数えればよいのですが、電車での移動の場合には1m以内で15分以上の接触があった人の数もカウントする必要があります。これまでに電車の中で1m以内に50人がいる状態であった人は、10人しかいない混雑していない電車での移動にしなければならないことになります。電車での移動で7割減にした場合には、仕事での接触を9割減にすると平均して8割減になります。
仕事をしている場合には、せいぜい6割減がよいところで、これを8割減にするためには、家族全体で調整することが考えられます。2人家族で、1人が完全に外出しないなら10割減、これで2人を合わせて8割減となります。4人家族なら2人が完全に外出をせずに10割減で、1人が5割減、1人が7割減なら、これでも8割減となります。
この結果をもって、うちの家族は8割減だと言うことができるのかというと、そうはいかないのがウイルス感染の困ったところです。せっかく外での感染を防いでも、外で感染してきて家庭に持ち込んだら、家族は濃厚接触者であるので簡単に感染してしまいます。外出する人と家庭に籠城する人が決まっているなら、外から持ち込むリスクは計算通りに行くかもしれません。しかし、ずっと家の中にいるわけにもいかないからと、交代で外出をしていれば、感染して家庭に持ち込むリスクは2倍に高まることになります。ここが2倍になると、家庭に持ち込むリスクもスライドして高まっていくことになります。
こういった状態で8割減を実行できた場合と、1人ずつが8割減を実行できた場合を同じように計算するのはおかしいことになります。今回の8割減で感染者をピークアウトさせられるという首相の発表は、どちらの場合を指しているのか、その根拠を聞くよりも、2週間しての結果を見れば明らかになるはずです。