抗酸化成分の種類と働き4

カシス
黒スグリ、黒房スグリ、ブラックカラントとも呼ばれる北ヨーロッパからアジアの寒冷地に生育するユキノシタ科の潅木で、そのベリー類の実が使用されます。抗酸化作用がある青色色素のアントシアニンが豊富で、黒く見えるほどにポリフェノールが多く、その量はブルーベリーの3~4倍にも達しています。眼疲労の軽減、眼の毛様体筋の緊張の軽減による近視の抑制、眼の末梢血管の血流の促進などの作用があります。果実は原則的に原産地で生育したものに抗酸化成分が多く含まれますが、カシスは紫外線が強いニュージーランドで栽培されたもののほうがアントシアニンの含有量が多いことが確認されています。
カテキン
緑茶などの茶葉の渋味成分のポリフェノールで、ビタミンEの約20倍の抗酸化作用があり、殺菌・抗菌作用、血糖降下作用、中性脂肪降下作用があります。緑茶に含まれるカテキンの半分ほどがエピガロカテキンガレートで、そのほかにエピガロカテキン、エピカテキン、ガロカテキンなどがあります。緑茶、紅茶、ウーロン茶もツバキ科の茶葉から作られますが、強い抗酸化作用があるエピガロカテキンガレートは緑茶には多く含まれます。緑茶カテキンの含有量は茶葉の8~15%で、上級煎茶に多く、上級の玉露や番茶では少なくなっています。カテキンは薄い黄色で、お茶の色の緑色は葉緑素(クロロフィル)の色素。茶葉は乾燥しているときには酸化しないものの、お湯を注ぐと酸化が始まり、30分ほどで酸化が大きく進みます。30分以上が経過してから煎れたお茶は酸化したものを飲んでいることになり、カテキンの抗酸化作用が大きく弱められることになります。
グレープシード
ブドウの種子で、ポリフェノールのプロアントシアニジンが含まれます。カテキンが多く重なった構造で、抗酸化作用はビタミンEの5倍以上もあります。赤ワインのポリフェノールは赤い皮に多く含まれる成分で、フランスのボルドー大学の研究で、赤ワインに次ぐ抗酸化物質としてフランス海岸松の内部樹皮に含まれるピクノジェノールの研究が始まりましたが、量が少ないことから廃棄されるブドウの種子の抗酸化作用の研究が進み、強い抗酸化作用が確認されました。抗酸化作用のほかに細胞の老化防止、関節の抗炎症、網膜の保護、血管保護などの作用があります。食品ではグレープシードオイルからプロアントシアニジンを豊富に摂ることができます。