生きている限りは、活性酸素は発生し続けます。それならば身体に悪影響を与えるほど活性酸素が多量に発生しないようにしなければならないと考えられるかもしれませんが、それは不可能なことです。
活性酸素が体内で多量に発生する要因としては、過剰な運動、農薬、食品添加物、薬剤、化学物質、排気ガス、タバコ、アルコール、紫外線、電磁波、放射線、身体の傷や炎症、水道水の塩素、病原菌の侵入、酸化した食品、ストレスなどがあげられます。現代人は活性酸素の多量発生を抑えることができない環境の中で暮らしているわけです。
吸い込んだ酸素のうち2〜3%が活性酸素になるということは、吸い込む酸素の量が多くなるほど活性酸素の発生量が多くなります。
活性酸素の発生量が特に多くなるのは運動をして大量の酸素を取り込み、大量のエネルギーを消費しているときで、身体を動かすほど吸い込む酸素が多くなり、エネルギーを多く発生させるほど活性酸素の発生量は増えていくことになります。
活性酸素は歩くだけでも平常時(安静時)に比べると1.5倍以上が発生し、軽いジョギング程度の運動をしたときには平常時の5倍以上の活性酸素が発生するといいます。
ある教育系大学の卒業生の健康度を長期間にわたって追跡した調査で、文科系学部の卒業生と運動系学部の卒業生の寿命を比べたところ、運動系の卒業生のほうが平均で約6年も寿命が短くなっていた、という報告があります。運動をする人は一般には健康度が高いと考えられています。運動系の卒業生は体育の教師が多く、スポーツ選手ほど身体に負担はかからず、むしろ適度に身体を動かすことで健康的な生活をしていると考えられています。
ところが、印象とは異なった結果になったわけですが、その大きな理由としてあげられているのが活性酸素による身体への影響です。運動の機会が多く、活性酸素の発生量が多い人は、活性酸素を消去するケアをしないと身体にダメージが蓄積されて、寿命にも関わる結果となるというわけです。
運動量が増えるにつれて体内で酸素から活性酸素に変化する量は増えるものの、活性酸素を消去する働きがあるSODなどの抗酸化酵素が作用するためには酸素が必要となります。
運動をしても最大酸素摂取量(運動によって測定された酸素消費量の最大値)の75%ほどに達するまでは酸素を利用して抗酸化酵素の働きが高まるので、活性酸素は、それほど多くはなりません。
しかし、75%のラインを超えると、活性酸素の発生量は急激に高まっていくことになります。この75%のラインを超えたときが過剰な運動となるわけです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕