抗酸化27 活性酸素によるがん化

正常な細胞を傷つける原因として最も多いのは、発がん物質とされています。細胞が正常な状態であれば、細胞膜が丈夫な状態であり、発がん物質は細胞内には入りにくくなっています。

ところが、活性酸素によって細胞膜が傷つけられると、発がん物質は細胞内に入り込みやすくなり、細胞の核の中にある遺伝子を傷つけるようになります。

がんは発がん物質だけで発生するのではなく、促進物質が作用することで増殖していきます。活性酸素は促進物質を刺激することも知られており、そのためにがんが発生しやすくなっています。

発がん物質がなければ、活性酸素によって促進物質が刺激されて活性化しても、がんは発生しないことになります。しかし、発がん物質は化学成分だけでなく、食品にも含まれているため避けることはできません。

活性酸素は、がんを引き起こす要因ではあるものの、細胞を破壊する作用を利用して、がん治療にも使われています。がん治療に使われる抗がん剤も放射線も、体内で活性酸素を多量に発生させます。がん細胞は、もともと正常な細胞が異常に増殖したものだけに、細胞膜が弱く、活性酸素によって破壊されやすくなっています。

この活性酸素によって、がん細胞だけが破壊されれば問題はないわけですが、活性酸素は周囲の正常な細胞も破壊していきます。がん治療は、がん細胞を破壊するとともに、がん細胞を新たに作り出す要因にもなっています。そのため、がんの予防段階だけではなく、治療段階になってからも活性酸素を消去することが大切になります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕