抗酸化29 動脈硬化と活性酸素

血液中のLDL(低比重リポ蛋白)の増加と同時に動脈硬化を進める原因となっているのが活性酸素です。コレステロールは健康維持に欠かせないものであり、それを運ぶLDLも必要なものであるので、血液中にLDLが多くなっても白血球の一種であるマクロファージが取り入れて処理するようなことはありません。

ところが、LDLが活性酸素によって酸化すると変化した酸化(変性)LDLとなり、これをマクロファージは異物と認識します。そのため、マクロファージは内部に取り入れて処理する貪食を始めます。

マクロファージは限界まで酸化LDLを貪食すると活動を止めて、血管の内壁に潜り込みます。これが長く続くと、だんだんと血管壁が硬くなり、内側に盛り上がって血管の内径が狭くなっていきます。これが動脈硬化の大きな原因とされ、血管が狭くなって血流が低下することになるため、全身に影響が出るようになります。

この狭くなり、硬くなった状態で血栓ができると血管が詰まりやすくなります。血管が詰まると、そこから先には血液が送られなくなり、先の細胞が死んだり、臓器の機能が大きく低下することになります。これが心筋梗塞や脳梗塞の原因となっています。
血栓が詰まったところが脳や心臓の血管であれば、死にもつながりかねません。

また、血栓が詰まったところに強い圧力がかかると、血管が破れて大出血が起こり、やはり死につながることにもなります。

動脈硬化はLDLが血液中で多くなりすぎることだけではなく、活性酸素によってLDLが酸化することが問題であり、活性酸素が体内で多く発生しないようにすることが血管を守ることになる、ということです。

また、活性酸素は血液中に多くあることから、活性酸素そのものによっても血管は傷つけられ、弾力性が失われていきます。これだけでも血流が悪くなりますが、血液中の中性脂肪も活性酸素によって酸化することで血液がベタつくようになり、ますます血流が悪くなっていきます。

酸化した中性脂肪はアテロームと呼ばれる粥状の脂肪となって、血管壁に付着することで血管壁の細胞を劣化させていきます。これも動脈硬化の原因の一つとなっています。

血流が低下することは、免疫にも大きな影響を与えます。がんを抑える免疫細胞の白血球とリンパ球は血液中を流れていて、血流が悪くなると必要なところに到着するのが遅くなります。道路が渋滞していたら、消防車の到着が遅れて、ボヤで消せるはずの火事が全焼にもなりかねません。それと同じようなことが起こって、がん細胞の増殖が進んでいくことになります。

血液中にブドウ糖や中性脂肪が増えすぎると血管内が混雑した状態になります。また、ブドウ糖も中性脂肪も血液中で多くなると赤血球を接着させる作用があり、流れにくくなって、ますます渋滞がひどくなって免疫が低下していくことになります。活性酸素を消去することは、こういったことを解決するため、健康の維持には欠かせないことがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕