活性酸素を理解するためには、そのもととなる酸素について知っておく必要があります。
酸素は空気の主な成分であり、空気には酸素が約21%含まれ、そのほかの成分として窒素が約78%、そして約1%がアルゴン、二酸化炭素、ネオン、一酸化炭素、ヘリウムの割合となっています。
呼吸によって空気として吸い込まれたのちに、酸素は肺に取り込まれ、酸素は肺を構成する肺胞の中で血液中の赤血球と結びつきます。酸素が結びつくのは赤血球の赤い色素(血色素)のヘモグロビンで、ヘモグロビンには酸素と結合しやすいミネラルの鉄が含まれています。
ヘモグロビンと結びついた酸素は、赤血球によって全身の血管へと運ばれていきます。酸素は血管を通過して細胞に取り込まれ、細胞から排出された二酸化炭素は血管を通過して血液中に入り、赤血球と結びついて肺胞まで運ばれます。肺胞から二酸化炭素は気管に送られ、呼気によって身体の外に排出されるという一連の流れになっています。
全身の細胞は約60兆個とされていますが、細胞に取り込まれた酸素の一部は細胞内にある小器官のミトコンドリアの中で、エネルギーを作り出すために使われます。ミトコンドリアでは酸素とともに、エネルギー源となるブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸を取り込んでエネルギー産生(エネルギーを作り出すこと)が行われます。
ミトコンドリア内にはエネルギー産生を行うTCA回路というエネルギーを作り出す器官が備わっています。TCA回路を経由しなくても無酸素状態によってエネルギー産生は行われますが、その場合にはブドウ糖や脂肪酸が1分子について2分子のエネルギー物質のATP(Adenosine Tri Phosphate:アデノシン三リン酸)が作り出されています。
それに対して、TCA回路を経由して酸素が使われることによって36分子のATPが作り出されます。酸素はエネルギーを多く作り出すために欠かせないものであることがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕