膝痛の原因の大半は老化によるものですが、そのほとんどは変形性膝関節症によって痛みが引き起こされています。大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)が触れ合っている膝関節は、表面が軟骨になっていて、非常に滑りがよく、クッション役をしています。大腿骨の軟骨は約7mm、脛骨の軟骨は約5mmとなっていて、軟骨の滑りは氷の5~8倍もなめらかだと言われています。つまり、膝の関節は氷の上に氷を滑らせるよりもなめらかな状態になっているわけです。
この軟骨が刺激を受けることによってすり減ると関節の骨と骨とが直接当たるようになります。軟骨には神経細胞がなく、すり減っただけでは痛みを感じることはありません。しかし、軟骨が大きくすり減ると、骨の神経が刺激されて痛みを感じるようになります。これが膝の痛みの第1位となっている変形性膝関節症です。
骨が強い刺激を受け続けると、軟骨が減ることによって骨の表面がささくれ立った状態になります。ささくれが大きくなるとトゲ状になって、触れ合っている反対側の骨の神経を刺激するようになり、膝を折り曲げて座ることや、階段の昇り降りも困難になってきます。
軟骨には破壊する細胞と作り出す細胞が存在していますが、破壊する細胞は活性酸素が多く発生することによって働きが進んでいきます。軟骨を守り、再生を進めていくためには、活性酸素の消去も大切になってきます。
活性酸素が軟骨の減少に拍車をかけています。軟骨の細胞は活性酸素が増えると壊れやすくなり、活性酸素が増えるほど軟骨が減っていきます。軟骨はグルコサミン、コンドロイチンでできているので、これを医薬品や健康食品によって補うことで再生させていくことができます。しかし、破壊が大きく進むと補充が間に合わなくなり、なかなか痛みが改善されなくなります。
膝の痛みを予防するためにも、痛みを改善するためにも、活性酸素の消去は欠かせません。
骨は骨芽細胞によって増え、破骨細胞によって壊されているわけですが、活性酸素は全身の細胞に影響を与えることから、骨芽細胞の活性化にも影響を与えます。骨の代謝が盛んな若いときには活性酸素の影響は小さくても、年齢を重ねて骨芽細胞の働きが低下してくると骨芽細胞の増骨作用にも影響が出て、骨が増えにくくなります。
活性酸素は軟骨の破壊を進めることが確認されていますが、破骨細胞の働きが活性酸素によって進むことまでは、まだ確認されていません。しかし、活性酸素は血流を低下させ、骨を支える筋肉量の低下によって骨への栄養成分の補給の低下も起こりやすく、結果として破骨細胞の働きを高めたのと同じような結果になりかねません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕