肝臓は体重の50分の1ほどもある大きな臓器で、その働きとしては解毒が知られていますが、このほかにもアミノ酸からのたんぱく質の合成、ホルモンや免疫物質の材料の合成、ブドウ糖や中性脂肪の貯蔵、古くなった赤血球などの分解、ビタミンの活性化、体熱の発生など11種類もの多彩な働きをしています。
体内に入った有害物質は肝臓まで運ばれ、肝臓の細胞の酵素によって解毒・分解されていきますが、そのときには肝臓の細胞での代謝が盛んになり、活性酸素が多量に発生します。そのため、肝臓には活性酸素を消去する強い働きが備わっています。
活性酸素を消去する抗酸化酵素は肝臓でアミノ酸を材料にして作られているため、肝臓には抗酸化酵素が多く存在しています。全身で発生した活性酸素は血流に乗って肝臓まで運ばれてきますが、そのために肝臓で消去される活性酸素の量は発生した量の半分ほどにもなっています。
肝機能が低下すると活性酸素の消去能力が低下して、活性酸素によって血管が傷つけられるようになります。肝臓は血管が密集している臓器だけに、血管が傷んでいくことで、さらに肝機能が低下していきます。
そのために、さらに活性酸素の発生量が増えて……というように悪循環に陥っていきます。また、肝機能の低下によってビタミンの活性が低下して、抗酸化作用が弱まることでも肝臓を傷める要因になります。
肝機能は年齢を重ねるにつれて低下していきます。それは働きが低下するだけでなく、肝臓そのもののサイズも小さくなってくるからです。日本人は欧米人に比べて体格が小さい分だけ肝臓のサイズも小さくなっていますが、歴史的に食事によるコレステロールの摂取量が少なかったために、コレステロールが材料となっている肝臓の細胞膜が弱くなりやすく、高齢者では欧米人よりもサイズが小さくなりやすくなっています。
女性は男性よりも体格が小さいうえに、肝臓のサイズが小さくなっていくスピードも速いため、どうしても女性のほうが肝機能は低下しやすくなっています。
肝臓を強化するためには、肝臓に負担をかける有害物質を減らすことも大切です。それと同時に肝臓を守り、肝臓の働きを強める抗酸化成分を多めに摂ることを心がけるようにします。また、肝臓で抗酸化酵素を多く作り出すために、その材料となるアミノ酸も多く摂ることが大切になります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕