抗酸化33 肝臓のメカニズム

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。肝臓そのものには知覚神経がなく、炎症などが生じても、それほど進行していない段階では自覚症状が現れにくい特徴があります。知覚神経は肝臓を包んでいる膜にあり、肝臓が炎症で腫れてきたときには圧迫感などを感じるようになります。肝臓の圧迫を感じているなら、相当に腫れていると考えることができます。

肝臓は重要な臓器であり、肝細胞には大きな余裕がありま。肝臓の一部が悪化しても他の部分が代わりに働くため、機能を保つことができます。そのため、初期段階では自覚症状が出にくくなっています。肝臓は体重の約50分の1の重量がある大きな臓器で、さまざまな働きをしている重要な臓器であることから、人体の化学工場とも呼ばれています。

肝臓の機能は、代謝機能、解毒作用、胆汁の生成に大きく分けられます。

肝臓は、小腸で吸収された栄養成分を身体が必要とする形に作り変え、血液中に送り出す働きをしています。アミノ酸を原材料にしたタンパク質の合成、脂肪の合成と貯蔵なども肝臓の大切な働きの一つです。全身の働きに関係する酵素やホルモンもタンパク質であり、アミノ酸から合成されています。

有害物質は肝臓で無害な形に変えられ、尿などを通じて排泄されます。先に触れたように、アンモニアは肝臓で無害な尿素に変えられてから排泄されます。

また、アルコールは肝臓にあるアルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドに分解され、アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素によって分解され、最終的には水と二酸化炭素に分解されます。

胆汁は肝臓でコレステロールを材料にして作られ、胆嚢で濃縮された後に十二指腸に分泌されます。胆汁の主成分である胆汁酸には脂質の消化を補助する作用があり、胆汁には不要なものを排除する働きもあります。

胆汁の中には古くなった赤血球が分解されたときに生じる老廃物のビリルビンも含まれていて、肝臓はビリルビンを水溶性にして胆汁に入れて排出しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕