高齢者は次世代の子どもたちや、その子どもたちを支える立場になってほしいという思いは、発達障害児の支援活動に携わっていると、痛切に感じています。外見からわかりやすい障害児は社会的な支援システムがあり、支援施設もあって、それなりに地域社会からも支えられています。これに対して、発達障害児は外見ではわかりにくく、まだ地域で支えるところまでいっていません。
通常の学校に通学している発達障害児が利用できる発達障害児支援施設は数が足りず、支援が進んでいる岡山県を例にすると、稼働率が100%であったとしても3人に1人しか利用できないのが実態です。親が周囲に子どもが発達障害であることを隠そうする、子どもにも伝えていないという実態もあって、発達障害児支援施設に空きがあっても利用されていないというマッチングがうまくいかないということもあります。
発達障害児の保護者が求めているのに、事業として支援施設を開設したいと考えていても、運営がうまくいくほど集客ができるかどうかわからないということで、まだまだ支援施設が増えていかない、そのために発達障害児が改善のための支援が受けられないということも起こっています。
この改善のために私たちが考えていることの一つが、発達障害児のことを広く知ってもらい、社会的な支援の機運を高めるためにサポーター制度を設けることです。認知症の実態を伝え、社会的な支えを求めるための認知症サポーターと同じような形で、自治体ごとにサポーターの育成を始めて、高齢者にも過去の経験や人脈を活かして社会的な支援活動に取り組んでもらいたいのです。名称としては、児童発達サポーターを提案しています。
発達障害児を支える家族を支えるのが支援施設などですが、その施設や学校などで働く人たちを支える立場になって活躍してもらうことを願っています。“支える人を支える”その人を支えるために、私たちは教育や情報発信の面から取り組んでいます。