支援する人を支援する18 発達栄養の支援の連続

発達栄養は子どもが発達するために必要な栄養を指すことが多く、この場合であれば通常に発達するために必要とされる栄養素が摂れていればよいと考えられます。ところが、栄養摂取の対象が発達障害の特性がある子どもの場合には、必要とされる栄養素が不足していなければよいという単純な対策では済まなくなります。

充分な栄養摂取のための食事を用意しても、特性のために食べられないものがある、食べられるものであっても量が限られているということが起こります。そして、充分な状態であっても発達障害の特性である自律神経の調整の乱れがあって、食べたものが想定通りに吸収されない、余分に消費されてしまうということが起こります。

その実態を伝え、個々の状態に合わせた“充分な摂取”ができるようにしなければなりません。そのためには「支援する人を支援する」流れが必要で、保護者(中でも家族のための調理をする人)への支援が重要になります。

保護者に対する発達栄養の支援は、実際の料理をするための技術や注意点ではなくて、発達と栄養の関係を正確に伝えることが第一義となります。

これは総論のようなもので、千差万別とされる発達障害の特性に合わせて、細かなアレンジができるような情報と、これでも通じないことを想定して、個別に相談をして対処する情報支援も重要になります。

保護者に伝える人とは発達支援の専門家のことですが、発達障害の特性と栄養について詳しい方は少数でしかないというのが現状です。その専門家に発達栄養を伝える専門家が必要ですが、これはもっと少なく、ほぼいない地域もあります。

となると、発達栄養の専門家を地域で養成するか、発達障害支援の専門家や栄養支援の専門家に伝える活動が必要になります。発達障害も栄養も完全に解明されているわけではなくて、医学や健康に関わることは変化が激しく、常に情報更新をしていく必要があります。

こういった支援する人を支援する活動の連続に対しては、最も上流にいる方に発達栄養を最新情報を伝える、また別の支援する人が必要になります。それを、どこまで私たちが担うことができるのか、そこは走りながら考え続け、実践し続けていくしかありません。
〔特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕