支援する人を支援する2 広報による支援

より多くの人に知ってもらい、多くの賛同者を得たい、多くの人に利用してほしいという考えは公益活動でも収益活動でも同じところがあります。多くの人に知ってもらうための活動である“広報”は英語では「Public Relations」と記されます。

「Public Relations」は世界に通じる用語ですが、これを略したPRとなると違った意味合いで捉えられる場面が多くなっています。PRというと広告と考えている人も多く、PR活動の話をすると広告費の話ばかりをされることがあります。

公益活動に取り組んでいる団体に対して広報の重要性を話すと、多くのところから「広告費を出す余裕がない」という返答が返ってきます。広告費をもらって宣伝をしようというわけではなくて、その一部を手数料として受け取る広告代理店ではないので、広報と広告の違いから話をするのがほとんどという経験も数多くしてきました。

「Public Relations」は、団体と、その団体を取り巻く人との望ましい関係を作り出す行動が原点となっています。この場合の団体は企業、官公庁などのほかに、もちろん公益活動をする法人も含まれています。活動を知ってもらい、関心のある人に注目してもらうことが役割で、そのための費用(広報費)がかかることもあります。

私が手掛けてきた納豆、豆腐、豆乳の業界団体のPR(Public Relations)は、それぞれの食品の有効性や活用法を知ってもらい、健康になってもらうためのツールの一つとして購入を促すということで、販売による収益を直接に求める活動ではありません。PRには時間、お金もかかることなので、動いただけの費用(リリース発行や交通費、最低限の人件費)は発生します。

“広告”は英語では「advertisement」と記され、その略語はADです。広告費をかけて知らせる行動であるので、広告費の多寡が知名度や売れ行き、収益に関わることになります。

なぜ広報と広告が混同されるのかというと、広報と言っておいて広告の手法を使っている会社があり、PR代理店と名乗って、やっていることは広告代理店という例も少なくないからです。広報の仕事というので東京にいたときに岡山に出向きましたが、企画提案をする側も、それを受け入れる自治体も広告の感覚(広告そのもの)として会話をしていたときに、広報と広告の違いについて説明して雰囲気を壊したことを覚えています。

できるだけ費用をかけずに、公益活動の成果を高める方法については徐々に明らかにしていきますが、その基本となっているのは「三方好し」の発想です。一般に言われている三方よしは良しや善しが使われることが多いのですが、「好し」を使う意味がわかれば公益活動への個人の支援として、何をすればよいのかが見えてきます。
〔特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕