ウォーキングによって強化できるのは筋代謝力と筋持久力ですが、歩くことによって効果的に脂肪酸を代謝させる筋肉を増やすためには、歩いて筋肉を強化する方法がすすめられます。
有酸素運動のウォーキングは走ることに比べると身体を傷めにくく、健康効果が高いとはいっても、ゆっくりと歩いていたのでは筋代謝力も筋持久力も強化することはできません。ある程度の負荷が遅筋にかかることで、酸素を体内に取り込んで、効果的にエネルギーを作り出す能力を高めていくことができます。
有酸素運動をすると、細胞内のエネルギー産生の小器官であるミトコンドリアの中にあるTCA回路でブドウ糖と脂肪酸をエネルギー源として、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られます。ATPからリン酸が1個離れてADP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが発生します。体に負荷が高まるウォーキングをするとADPから、さらにリン酸が1個離れてAMP(アデノシン一リン酸)になるとAMPキナーゼという酵素が発生します。
AMPキナーゼには、運動後にサテライト(衛星)細胞を活性化させて、筋繊維にタンパク質を吸着させる働きがあることから、一定の負荷がかかる有酸素運動は筋肉量を増やす効果が高くなっています。
年齢を重ねていくと運動をしても筋肉がつきにくく、筋肉量が低下すると元に戻らないと思われがちですが、筋線維は加齢によって減少することはなく、誕生したときから同じ数となっています。そのために、効果的な運動をすれば元の状態に戻すことも可能となっています。
ウォーキングは有酸素運動であることから遅筋を刺激して増やす効果が注目されていますが、負荷をかけることによって無酸素領域の運動とすることができます。運動の負荷に対して酸素供給が間に合わなくなって疲労物質の乳酸がたまってきた状態で、最大酸素摂取量(全力での運動で取り込まれる酸素量)の60%を超えたあたりで切り替わります。
多くの酸素を吸い込まないと続けられないような強度の有酸素運動となる速歩きやバウンド運動(バランスボールのバウンド使用)では、無酸素領域の運動となって、速筋におけるブドウ糖の代謝が進んでいきます。これによって遅筋を増やすことができるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)