やせるというと体重が減ればよいと考える人がいるかもしれませんが、減らすべきは体脂肪です。単純に太って体重を増やしたいのであれば、食事量を多くして、体内に入ってくるエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を増やすと、余分となったエネルギー源は肝臓で脂肪酸に合成されて中性脂肪となります。
この中性脂肪は蓄積型の脂肪であるので、脂肪細胞の中に蓄積されていきます。体脂肪は、内臓脂肪と皮下脂肪を合わせた体内に蓄積されている中性脂肪のことで、中性脂肪はグリセロールという脂質が3個の脂肪酸を結びつけた構造となっています。
食事として摂るエネルギー源が少なくなるか、運動や生活活動によって多くのエネルギー源をエネルギー消費のために使ったときには、体脂肪の中性脂肪が分解されて、脂肪酸が血液中に放出されます。その脂肪酸が筋肉をはじめとした細胞に取り込まれて、エネルギーを作り出すために使われます。
体脂肪は、脂肪細胞の中にとどまっているような印象があるかもしれません。しかし、実際には血液中の脂肪酸が多くなったときには中性脂肪になって脂肪細胞の中に取り込まれ、中性脂肪が少なくなったときには脂肪細胞の中から出ています。食事の量と運動などの量に合わせて、脂肪細胞に出入りして変化しているのです。
下世話な表現をするなら、“食っちゃ寝”のダラけた生活をして、食べるだけ食べて動かなければ脂肪細胞の中の中性脂肪が増えて太ることができます。しかし、太ることを希望する人は、そんな太り方を希望しているわけではありません。増えてほしいのは筋肉で、体脂肪は、それほど変わらずに、できれば体脂肪を適度な量に整えて、筋肉量を増やしたいという願いのはずです。
筋肉は年齢を重ねて高齢になると、増えにくくなります。筋肉のもとになる栄養素のたんぱく質を摂りたくても食事量が減り、運動量も減って、筋肉が衰えるようになります。できることなら高齢になる前に、筋肉量を増やしておく“貯筋”に励むようにしたいものです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)