食事で摂っている肉は動物の筋肉です。自分の身体の筋肉を増やすためには、同じ性質の動物性たんぱく質を摂取すればよい、という考え方は正しいことではあるのですが、人間の筋肉と動物の筋肉では違うところがあります。それは脂肪の量です。
人間の身体の行動をみると、筋肉は脂肪酸を消費する器官で、脂肪酸が蓄積されているのは脂肪細胞というように分けられています。脂肪細胞の中では、脂肪酸は3個が結びついた中性脂肪という形になっています。
それに対して食肉用の動物の肉は筋繊維(繊維状の筋肉細胞)の周りに脂肪がついています。中には霜降り肉といって、筋繊維の中に脂肪酸が多く蓄積したタイプの肉もあります。脂肪はダイエットを心がける人には嫌われがちですが、エネルギー源としては重要なものです。エネルギー量を比較すると、たんぱく質は1gあたり約4kcalなのに対して、脂質は同じ重量で約9kcalと2倍以上のエネルギー量となっています。重要なエネルギー源であるので、肉を食べるときには脂肪も同時に摂取できるようにしているのです。
人間は筋肉と脂肪が分かれているという説明をしたのですが、人間も霜降り状態になることがあります。その原因は運動量が極めて減ったことです。なぜ筋繊維の中に脂肪酸が蓄積するのかというと、これは動物の肉と同じことで、あまり運動をさせずに、多くの量を食べさせていると体内で余分に作られた脂肪酸が筋肉の中についていくからです。
豚は太っている人の代名詞のように言われることがあるものの、実際の豚の体脂肪率は15%ほどです。脂肪細胞の中に多くの脂肪が蓄積されているのではなくて、筋繊維の中に脂肪が含まれています。この脂肪は、脂身と違って目で確認しにくいので、思ったよりも多くの脂肪を摂取することになりがちです。
肉食をすると脂肪も多く摂取することになるので、筋肉をつけるためには運動が必要になるわけですが、その運動は筋トレの代名詞の無酸素運動だけでなく、ウォーキングなどの有酸素運動も必要になります。無酸素運動で筋肉を刺激して増やし、有酸素運動で肉食で多く摂取した脂肪をエネルギー化するという両方の対策が必要になるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)