新型コロナウイルスの感染防止のために、マスクをつけての日常行動が新しい生活様式とされる中、熱中症予防とのバランスからマスクの着用を戸惑う人も少なくありません。暑い季節にマスクをすることは呼気による放熱が妨げられ、マスクが密着した皮膚の温度も上がることから体温上昇が起こります。それでもマスクの必要性を感じている人のために、繊維メーカーや衣料品メーカーが機能性素材を用いクールマスク、冷感マスクを開発しました。すでに販売も始まっています。
冷感素材は下着でも使われていて、これを着ていると暑さを感じにくいだけでなく、実際に体温の上昇を抑える効果も確認されています。クールマスクの中には、ガムなどにも使われる清涼成分を入れ込んだ素材が使われているものもありますが、これは冷感だけでの効果であって、実際に冷やす効果となると期待薄です。
クールマスクをつければ、汗をかきにくく、暑い気温の中でも外を歩きやすいということで人気が高まっているものの、冷感のために、実際の体温の上昇が気づきにくいというデメリットがあります。マスクをすると呼気による放熱が妨げられるので、どうしても体内の温度が高まりやすくなります。マスクのために呼気が外に出ないと、喉は湿った状態が保たれて、喉の渇きを感じにくく、体温の上昇も把握しにくいということが起こります。
クールマスクは、体温の上昇を察知するという重要な体内機能を妨げることになるので、装着して暑い環境で歩く、走る、運動をするということは危険性があり、それを知って、対策を取らなければならないことになります。
どんなマスクであっても、マスクをしているときには、暑さ対策としての水分補給、日陰での休養は着実にするべきです。そのことを運動などをする人には徹底してほしいのですが、まだ充分には行われていないのが現状です。