新型コロナウイルスの感染拡大に対抗するために、できるだけ早いワクチン開発が求められています。ワクチンの開発には、第一相から第三相までの試験が必要となります。これは常識で、必ずクリアしなければならないことであるのに、早期のワクチンが求められていることから第三相試験を省略して、すでに実用化を始めた国まであります。
ワクチン開発は急がなければならないのはわかるとしても、安全性の確認には長い期間がかかるので早期の開発には不安があるという声も少なくありません。ワクチンの重要性、緊急性は、日本のように感染者がゆっくりと増えている国では理解できないという欧米などの声も理解ができるところですが、第三相試験について正確に把握できていれば、緊急だから急げばよいというわけにはいかないということが理解できるはずです。
医薬品の開発では動物試験によって有効性と危険性が確認されたあとに人間を対象とした第一相試験として少人数の健常者で安全性が確認されます。次に対象となる疾患がある人に対して実施されるのが第二相試験で、最後に多くの疾病がある人に対して第三相試験が実施されます。
これに対してワクチン開発では、人間を対象とした第一相試験は少人数の感染者で行い、第二相試験は多くの感染者で行い、その有効性と安全性を確認します。大きく違っているのは第三相試験で、ワクチンは健常者、つまり新型コロナウイルスの場合には、これに感染していない人を対象にして、接種をして、どれくらい感染を防止できるのかということを確認する試験となっています。
この第三相試験を実施しないということは、健常人に、どんなことが起こるのかを確認しないままに接種をするということで、どんな危険性があるのか実際のところはわからないままに接種をするという国民を危険に晒すことをすることになります。だから、接種するワクチンは最後の最後まで確認をしてもらいたいのですが、通常では1〜2年の期間がかかるのが第三相試験なので、まだまだ感染の不安を解消するまでには長い期間がかかるということです。そして、考えたいのは、開発を急いだワクチンは接種が始まってからも、まだ試験をしている状態だということです。