新型コロナウイルスの重症化は血栓が原因か

新型コロナウイルスに感染した人の多くは重症化しないとされているものの、重症化する人の状況を見ていくと基礎疾患と呼ばれる高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)の人が多くなっています。重症化のリスクが高い人は高齢者に多いとされているのも、基礎疾患を抱えている人が多いことが関係していると考えられています。
新型コロナウイルスに感染すると、白血球のマクロファージが登場して、リンパ球のB細胞に働きかけて抗体を作り出して新型コロナウイルスと戦っていくことになりますが、そのときにマクロファージから炎症性サイトカインという情報物質が放出されます。これを受けて、臓器の炎症が起こり、組織が損傷されます。
新型コロナウイルスは基礎疾患(肥満、動脈硬化、糖尿病、高血圧、脂質異常症など)のある人が起こりやすくて、その結果として多臓器不全を起こして、重症化から死に至ることもあります。通常では臓器の炎症だけで、ここまで進行することは珍しいのですが、新型コロナウイルスの場合には別ルートで血栓が多く作り出されることによって、重症化につながるという他にない特徴があります。
血栓を作り出すきっかけとなっているのは、新型コロナウイルスに感染したときに起こる血管内皮細胞への感染で、血栓が多く作られます。この血栓は、炎症性サイトカインによって血小板の粘着性が高まることによって固まりやすくなり、細い血管に血栓が詰まることになります。
血栓さえ詰まらなかったら重症化することなく、死につながることもないということで、基礎疾患がなければ、本人として大きな苦しみに襲われることもなくなり、治療や介護をする医療関係者の負担も大きく減らすことができるということです。脂質異常症というのは高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症を指しています。糖質の摂りすぎが糖尿病に、中性脂肪やコレステロールの摂りすぎが脂質異常症になるという認識がされているものの、糖質の摂りすぎでも中性脂肪もコレステロールも血液中で多くなります。これは肝臓で余分なエネルギー源を材料に中性脂肪とコレステロールが作り出されているからですが、感染予防に注意すると同時に、食生活の節制も大切になるということです。