新型コロナウイルスは高齢者、基礎疾患のある人は感染しやすく、また重症化しやすいことが確認されています。基礎疾患は糖尿病、高血圧、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)、心疾患、脳血管疾患、肥満のほか肺疾患、腎臓疾患なども含められています。
その中でも糖尿病に次いで大きな問題とされているのが高血圧です。国内の高血圧患者は約4300万人もいて、糖尿病患者の約1000万人と比べても非常に多くなっています。調査対象は成人人口の約1億人なので、いかに多くが患者になっているかがわかります。
高血圧の予防・治療には適度な運動、過食しない食生活、規則正しい生活、ストレスのない生活などがあげられていますが、コロナ禍での外出制限が、これらの原因を高める結果になっています。高血圧の人は高齢者が多く、糖尿病や心臓病、腎臓病を合併している人が多いために、感染したら重症化するリスクが高いということです。
となると、できるだけ血圧を上昇させないようにすること、高血圧の人は改善させることが大切になります。高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会)では血圧を安定させる生活習慣として、食塩摂取1日6g未満、野菜・果物の積極的摂取、適正体重の維持、運動療法(有酸素運動を1日に30分または週に180分以上)、節酒、禁煙をあげています。
食塩の過剰摂取は、ナトリウムが水分を吸着することから血液中の水分量が増えると同時に、血管の細胞にナトリウムが浸透して細胞の中の水分が増えることで細胞が膨らみ、血管が狭くなります。これが重なって起こることによって血圧が上昇するようになります。体重が増えるということは体脂肪が増えているわけですが、内臓脂肪が多くなると血管の周りの脂肪が多くなり、血管の弾力が弱まることになります。体脂肪を減らすことだけでも血圧が安定する人は少なくないのです。