新型コロナウイルスは高齢者、基礎疾患のある人は感染しやすく、また重症化しやすいことが確認されています。基礎疾患は糖尿病、高血圧、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)、心疾患、脳血管疾患、肥満のほか肺疾患、腎臓疾患なども含められています。この中で特に注目されるのは自分の努力によってリスクを低下させることができる糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満で、どんな努力が必要なのかというと、それは“歩く”ことです。
正確にいうと歩くことによる有酸素運動で、ただ歩数を増やせばよいというように歩幅を狭くしたチョコチョコ歩き、すり足状態のズルズル歩きでは歩くことが有酸素運動のレベルまでは高まってはくれません。有酸素運動のレベルとなるのは1kmを10分で歩くスピードで、有酸素運動としての効果が得られるのは30分以上の歩行とされています。
新型コロナウイルス対策で重要となるのは感染しないことと並んで、もしも感染したときに重症化しないことです。基礎疾患があると重症化しやすいということで、基礎疾患を治すこと、治らないまでも重症化しないレベルまで状態をよくすること、つまり血糖値、血圧、中性脂肪値、LDLコレステロール値、そして肥満度を改善することです。
歩くことはよいこととわかっていても、コロナ禍における新しい生活様式では密を避ける必要があります。外を歩くなら密閉空間ではなく、密集と密接への注意ということになりますが、スポーツ庁が外出自粛の対象とならない運動として“1人で歩く”ことをすすめています。1人で歩いていれば安全で、周囲に他人がいないところならマスクをする必要がないといっても、楽しいことではありません。集団で歩くことをイベントにしたウォーキング大会は日本ウオーキング協会の所管によるものは新型コロナウイルスの感染拡大が確認されたときから中止続きです。
歩くのは健康づくりによいと言われても、それを実感できる方法が示されなかったら、万が一のときの重症化を防ぐことができるとしても、なかなか歩くことを目的に外出するのは難しいことです。