日々修行10 修行のための第5の居場所

今から半世紀前の大学のときに、浄土真宗の“真”の部分を追求しようという目的を持って集まった勉強会は、自分にとっては“第5の居場所”といえる存在でした。その勉強会のことは前回(日々修行9)の最後に少しだけ触れました。

私が学んだ東洋大学は、前身の哲学館として哲学者の井上円了先生が開設した私学で、東洋哲学を中心に学ぶことができる珍しい存在でした。私が通っていた時代には文学部インド哲学科がありました(現在はインド哲学仏教学専攻)。

井上円了先生は、新潟県越路町(現在は長岡市)の真宗大谷派の慈光寺で生まれ、東本願寺留学生として東京大学文学部哲学科で学んでいます。

私の母親の実家の寺院も同じ宗派で、距離にして25kmほどの距離だったので、子どものときに住職の祖父と一緒に訪ねたことがあります。そのときには井上円了先生の話をされても何も理解はできなかったのですが、後になって大学選びをするときに縁を感じたところがあります。

私が受験したのは法学部で、4年間が法律を中心に学んでいたのですが、たまたま大学受験の通信講座の古文の先生がインド哲学科の教授であったことから挨拶程度に研究室を訪ねました。

そのときに、幼いときに預けられていた母親の実家の寺院の話や、親元を離れて寺院で暮らしたことを話したところ、なぜか気に入ってもらって、教室の片隅で聴講させてもらうことができました。

このことは結局は4年間続いて、法律とインド哲学の両方を学ぶことになりました。一風変わった学生がいるということで紹介された学生や講師の方々が真宗十派の出身で、その多くは跡取りではないということで、仲良く話をする機会が得られました。

仕事にするために(というか稼ぎとして)宗教を学ぶ、真宗を学ぶのではないことから、浄土真宗の開祖の親鸞聖人の教えの意味を真剣に考えようという機運が高まり、緩やかな研究会のような立場で、気が向いたら会う、スケジュールの都合がついたら会って話をするということを続けてきました。

しばらくは旧友との交流のような関係でしたが、1995年にWindows95の登場で通信の世界が身近になってから、通信手段を変えながら、今でも情報交換を行う関係が続いています。

これを私たちは、それぞれ仕事も社会的な役割も違う中であっても、浄土真宗の“真”の追及として一生涯終わらない、まさに“修行”として続けています。

今回のお題の「第5の居場所」についてですが、家庭でも仕事でもない、それ以外の第3の居場所でもなくて、自発的に集まった第4の居場所、それに続く社会に役立つ存在としての第5の居場所を意味しています。

このことについては、次回(日々修行11)、次々回(日々修行12)で説明をさせてもらいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕